台風25号による大きな被害をはじめ、近年の豪雨や台風、地震による被害を見ると、日本の国土強靱化のあり方を改めて考える必要があると思います。
国土交通省も台風25号について、道路規制などを含む被害状況を継続して公表しています。
ただし、「数十年にわたって国が何もしてこなかった」とまで言うのは正確ではありません。
河川改修、堤防、砂防施設、道路・橋梁の耐震化などへの投資は続けられてきましたし、近年は国土強靱化政策も本格化しています。
政府は2026~2030年度の5年間について、おおむね20兆円強を事業規模の目途とする「第1次国土強靱化実施中期計画」を進めています。
それでも、これまでの投資が十分だったのかという検証は必要でしょう。
高度経済成長期に整備された道路、橋、トンネル、上下水道などは一斉に老朽化しています。
その一方で、集中豪雨など自然災害のリスクは変化しており、従来の防災水準だけでは対応が難しい場所もあります。
政府自身も、流域治水、道路施設の老朽化対策、上下水道の更新、橋梁の耐震化、無電柱化などを重点課題として挙げています。
特に重要なのは、「災害が起きてから復旧する」という発想から、「被害が起きる前に投資して被害を小さくする」という発想への転換だと考えます。
大規模災害が発生すれば、住宅やインフラの復旧費だけでなく、工場の操業停止、物流網の寸断、観光客の減少など、経済全体に巨額の損失が生じます。
事前の防災投資には、その損失を抑える意味があります。
国土強靱化は単なる公共事業ではなく、人命と財産を守り、日本経済の基盤を維持するための長期投資と位置付けるべきでしょう。
今回の台風被害も踏まえ、過去の投資不足の有無を冷静に検証すると同時に、老朽インフラの更新や治水、防災DXなどを財政事情だけで先送りせず、計画的かつ継続的に進めることが重要だと思います。