大林組などが10月24日、建設機械を遠隔で操作する競技会を開催しました。
プロゲーマーや学生などが参加しました。
建設会社の社員と技術を競い、遠隔操作に適性を持つ人材を発掘します。
オフィスで建機を操る技術が普及すれば、女性や障害者、高齢者にも雇用の間口が広がります。
六本木の高層ビルのオフィスで、大型ディスプレイに映る油圧ショベルを操作しました。
操作しているのは、eスポーツのプロチームに所属するゲーマーです。
動かしていたのは会場から40㎞以上離れた千葉市内に置かれた建機です。
大林組や伊藤忠商事などが加盟する運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)が千葉県の技能者育成団体と開催した建機を遠隔操作する競技会の一場面です。
ゲーマーや学生、建設会社の社員ら6チームが参加して作業の迅速性や正確性を競いました。
プロゲーマーのYuhi氏は、建機を遠隔操作する「遠隔施工」の仕事について、報酬などの条件にもよるが、自宅で働けるなら選択肢の一つであると話します。
実は、この競技会の狙いは人手不足の緩和にあります。
建設業界の未経験者が、建設現場で活躍できる技術の実証試験でもあります。
未経験者でも講習を受ければ建設現場での遠隔施工は可能です。
建設業界では、技能者が、2030年には2020年比12%減の215万人になる見通しです。
需要に対して31万人不足する試算で、人手確保には常識を超えた取り組みが必要になります。
遠隔施工は30年以上の歴史があります。
1990年に雲仙普賢岳の被災現場で採用されたことが本格的普及のきっかけとされます。
今年1月の能登半島地震でも、大林組が通行路の整備に遠隔施工を導入しました。
通信環境にもよりますが、1,000㎞離れた現場の建機でも十分に操作できます。
有人作業と比べ、作業スピードは低下するものの、危険を伴う工事現場で
安全を確保するコストを考慮すれば遠隔施工を導入する利点は多いと言います。
遠隔施工は働き方改革にもつながります。
例えば、長時間の振動にさらされるブルドーザーの整地作業は遠隔操作によって体にかかる負担から解放されます。