ジビエの販売金額が増えています。
ジビエとはフランス語で、食材になる野生の動物や鳥の肉のことをいいます。
ジビエは、低脂肪・高たんぱくが特徴で、日本ではイノシシ、シカ、クマが代表的なものです。
野生のイノシシやシカによる被害が深刻化するなか、捕獲した野生動物を食用に有効利用しようとの動きが広がりつつあります。
販売金額は右肩上がりで、2023年度には54億円に達しました。
前年に比べ33%増えました。
調査が始まった2016年時点では、30億3,000万円で、7年間で8割増えました。
ジビエは牛肉や豚肉など家畜の肉とは全く異なる流通経路で消費者に届きます。
ジビエの流通は問屋を挟まないケースが多く、参考相場のような指標もありません。
肉の品質や安全性は処理業者の技量によるところが大きく、処理業者がそれぞれに価格を決めている状況だと言います。
野生動物なので、個体差が大きく、季節要因による流通量の増減もあります。
ジビエの需要は拡大していますが、特に若い世代が珍しいから食べてみたいと積極的になっています。
アイヌ民族を描いた人気漫画「ゴールデンカムイ」のヒットも影響していると言います。
ジビエを食べてみたいというきっかけの一つになっていて、ECサイトの売り上げも増えました。
低脂肪で高たんぱくというジビエの機能面にも関心が高まっています。
地域振興として力をいれる自治体も増えています。
山梨県富士吉田市はジビエの食肉処理から加工、販売まで手がける「富士山ジビエセンターDEAR DEER」を7月に開設しました。
研修を受けたハンターが持ち込んだシカを処理・加工し、ソーセージやハンバーガーなどにして販売しています。
ジビエは厄介者となった野生動物を資源として活用する策です。
ジビエの消費量が伸びれば、ハンターや処理施設の収益確保につながり、捕獲体制が強化される好循環を生みます。